☆Android端末視覚障害者の為の設定の手引き☆

はじめに

Android端末(スマートフォン・タブレット)は一見「視覚障害者には使えない」という印象を与えがちです。
しかし Android Ver4.0 以上で一部のアプリケーションのインストールと設定をする事で、画面を読み上げるソフト(スクリーンリーダー)を利用しての操作が可能となります。
ここでは、視覚障害者がAndroidスマートフォンを触って操作できる段階までの設定方法を紹介します。
Google慣習の端末は初期起動時に2本指で画面を長押しすると音声読み上げ機能を使用する事が可能な場合があります。ここではGoogleのPixel3、Android OS Ver 10を例に説明します。
他機種での設定をされる場合は、細かな所で違いがある場合がありますので、参考程度にして下さい。
また、設定等は画面を確認しながら操作出来る方、スマートフォンの操作にある程度慣れている方に依頼して、以下の手順を参考に設定のお手伝いをして頂く事をお勧め致します。その際は、 PDF版 も合わせてご活用下さい。

また、この設定に関しては、私自身の記録としてUPしております。皆様の参考になれば幸いですが、この作業における、端末のトラブル、また、どなたかへ依頼して発声したトラブル等、一歳に置いて作者は責任を負わないものとします。予め、ご了承願います。

0.事前準備

1)「Googleアカウント」を取得しておきます。取得済みの場合は不要です。 「Googleアカウント」は6〜30桁の半角英数字で入力してください。

2)有料アプリを取得するための決済方法を決めておきます。携帯電話会社と契約をして利用する場合は、クレジットカードをお持ちの方はGoogleアカウントに登録したクレジットカードで支払うか、携帯電話料金と一緒に課金するキャリア課金で支払うか事前に決めておくことで手続きがスムーズに進みます。

1.Talkbackをオンにする

この操作を実行してもTalkbackがアクティブにならない場合は、アクティベート後に設定して下さい。アクティベートはAndroid OS Verが最新でも初期起動時に有効に出来ない場合があります。

電源を入れ30秒程度経過すると、言語選択の画面が現れます。2本指を画面に置いてしばらくするとGoogle音声読み上げが起動し、尚且つ長押しし続けるとTalkbackが有効になります。この時点では言語が英語になっている為、英語音声での案内になります。 SIMカードが挿入されていない場合やモバイルデータ通信環境がない場合には、WiFi接続設定まで実行してから「←」で言語選択画面まで戻り日本語に変更して下さい。

手順を誤ってインターネット通信がない状態で言語を日本語に変更すると音声読み上げが全く無くなり、視覚を頼らずに音声を復旧する事が困難となる恐れがありますのでご注意下さい。

2.Googleアカウントの取得を行う

  事前に取得できなかった方は、アクティベーション中に案内に従って取得してください。

3.システムアップデート(ソフトウェア更新)の実行

本体の設定 → システム → 詳細設定 → システムアップデートとタップして更新作業を実行して下さい。

4.ホームアプリケーションについて

Android端末では、WindowsやiOSのホーム画面(アプリが並んで居る画面)を更正する部分においてもアプリをインストールして設定することができます。Pixel3には既存でPixel Launcherがインストールされており、これが設定されます。音声読み上げ環境で使用するに当たって、アプリの削除や並べ替えなどが容易にできるため最初はこれを使う事をお勧め致します。
尚、決して強制する物ではありません。他にもホームアプリケーションは多くあります。適宜変更して使用して下さい。

5.「TalkBack」の更新

1)Playストアを開き検索エディットボックスに「Android ユーザー補助設定ツール」と入力し検索します。または、
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.google.android.marvin.talkback&hl=ja
  にアクセスします。

2)「「更新」の表示がある場合には「更新」をタップして「Android ユーザー補助設定ツール」を最新の状態にします。

6.「ドキュメントトーカ for Android」と「ドキュメントトーカ IME for Android」のインストール

Android ユーザー補助設定ツールのTalkbackを使用するには音声出力するTTSと言う物を別途用意する必要があります。現在はGoogle社が日本語テキスト読み上げTTSを無料で提供しています。しかし、文書の入力等をする際には、入力した文字の詳細読み上げに十分対応していない為、必要に応じてドキュメントトーカ for android(有料)とドキュメントトーカ IME for Android(無料)をインストールすることをお勧めします。

1)Playストアを開き、検索エディットに「ドキュメントトーカ」と入力して検索します。または以下のリンクからアクセスします。
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.createsystem&hl=ja

2)「ドキュメントトーカ for Android」を選び、画面の指示に従ってインストールします。

3)上記に倣い、「ドキュメントトーカ IME for Android」をインストールします。以下のリンクからもアクセス出来ます。
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.createsystem.dtalkeropenwnn&hl=ja

4)「ドキュメントトーカ for Android」を開き、ハッピーバースデーをタップし、Playをタップします。「ハッピバースデー トゥーユー」の様に歌声が聞こえる事を確認します。

5)再起動します。

7.本体のシステム設定・ユーザー補助の設定

この設定を正確に行う事で、ドキュメントトーカ使用時により快適な環境で使用する事が出来るようになります。

7-1. 言語の設定

1)設定 → システム → 言語と入力 → 言語と進み、一番上に日本語が位置していることを確認します。

7-2.「キーボードと文字入力方法」の設定

1)設定 → システム → 言語と入力 → 仮想キーボード → キーボードを管理と進み、キーボードと入力方法の「Dtalker IME」にチェックを入れます。

2)仮想キーボードの画面に戻り、「Dtalker IME」をタップします。 このキーボード使用時の見え方や読み上げ方の詳細な設定をする事が出来ます。好みに合わせて設定変更が可能です。

3)検索を開いて画面右下の「入力方法の切替」と読むアイコンからドキュメントトーカIMEをタップして選択します。

7-3.音声読み上げ出力の設定

1)設定 → システム → 言語と入力 → 詳細設定 →テキスト読み上げの設定 → 言語とタップし、「日本語」のラジオボタンをタップしてオンにします。

2)優先TTSエンジンの一覧で、DTalker TTSをタップしてチェックを入れます。TTSのインストールをしてもここで選択しない限り有効になりませんのでご注意下さい。

3)「音声の速度」(読み上げでは音声の速度スライダーn%と読む所)にフォーカスを合わせ、物理キーの音量ボタンで好みの速度に調節します。

4)「音の高さ」(n%音の高さと読み上げる所)にフォーカスを合わせ、物理キーの音量ボタンで好みの声の高さに調節します。

7-4.ユーザー補助の設定

1)設定 → ユーザー補助とタップします。

2)「音量キーのショートカット」をタップしてオンにします。これを設定しておく事により、音量ボタンの上下を同時に3秒以上押すとTalkbackのオン/オフが切り替えられる様になります。また、この画面に「ロック画面から許可」と言う項目もあるので任意で設定して下さい。

3)「画面の自動回転」のチェックを外して画面の向きを固定します。

4)「電源ボタンで通話を終了」をタップしてオン/オフを選択します。

5)「TalkBack」をタップします。
(1)画面の右上にあるボタンをタップして有効にします。
(2)Talkbackのタッチガイドを使用せずに設定を進める場合は、「TalkBack」 →設定 → 「デベロッパー向けの設定」 → 「タッチガイド」をオフにします。(これは設定する側が特別なジェスチャーを知らないと操作ができない為、設定が修了するまで予備的にタッチガイドをオフにしておきます。)
(3)「詳細度」をタップして項目の設定を行います。プリセットをタップしてカスタムを選び以下の設定を確認します。
 @キーボード操作の読み上げを「入力したキーを全て読み上げ」にします。
 A「使用に関するヒントの読み上げ」をオンにします。
 B「リストやグリッドの情報の読み上げ」をオンにします。
 C「要素タイプの読み上げ」をオンにします。
 D「表音文字を読み上げ」をオンにします。
 E「声の高さを変更」をオンにします。
 F「画面OFF時も読み上げる」をオフ(チェックを外す)にします。
  ※チェックを入れると画面OFF時も常に何かを読み上げるので賑やかです。
(4)音声パスワード(パスワードの音声出力)にチェックを入れます。
(5)「近接センサーを使用」のチェックを入れる。(どちらでも可)
※画面に指を近づけたり他の場所に触れることで読上げを停止させることができます。
(5)その他のフィードバックの下にある「バイブで知らせる」と「音で知らせる」にチェックを入れる。(慣れてきたら任意で調節して下さい。)
(6)他の音量を下げる(読み上げ時に他の音量を下げる)をオンにする。
(7)コンテキストメニューをリストとして表示をオンにする。
(8)「音によるフィードバックの音量」をタップして4つの中から任意で設定する。「音によるフィードバック」がオンの時のみ選択出来ます。
※その他のフィードバックでの設定項目は、操作に慣れてきましたら、任意で使いやすい状態に変更して下さい。
(9)本体の電源を一度OFFにするか、再起動を行います。
※再起動よりも電源をOFFにして再度電源を入れる方が確実です。もし再起動後しばらくたっても音声読み上げが開始されない場合は何度か再起動を実行して下さい。
また、それでも、音声読み上げが始まらない場合は、一度TalkBackをOFFにして再度ONにしてみて下さい。その後状況に変化がない場合には、TalkBackのアンインストールの後、再度インストールを行って上記の設定をやり直して下さい。

8.ディスプレイの設定

画面を閲覧しない場合にはバッテリー消耗を少しでも少なくする為に、いくつかの設定をしておくと便利です。

1)設定 → ディスプレイとタップします。
2)「明るさの自動調節」をタップして自動調節を任意で変更します。自動調節をオフにすると任意の明るさに固定できます。
3)明るさを最低にします。
4)「詳細設定」 → 「画面消灯」をタップして、7項目の中から任意で設定します。音声読み上げで画面を読み上げる場合、眺めに設定する事をお勧め致します。
5)設定 → 電池 → 電池残量を(ステータスバーに電池残量を表示する)をオンにします。

9.最後に

ここまでの設定が終了した段階で、以下を行い全て完了となります。
1)「タッチガイド」にチェックを入れます。

以上、使用するまでに最低限必要と思われる項目を記載しました。


2020/09/07 Ver2.0.2

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